閑話休題

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データだけでみる12球団史:ヤクルトスワローズ〜元セリーグのお荷物球団〜 その2

映画"42"でのパイレーツいじりに感銘を受け,12球団の2リーグ制以降の勝率と通算の勝敗収支(各シーズン終了時点での通算勝利数-通算敗北数)をグラフ化してみた.
今日はヤクルトスワローズの第2回.前回は金田正一の凄まじいスタッツと球団創設当初の暗黒時代を見てきたが,その後の戦いぶりは?

勝敗収支と勝率5年平均

※勝率5年平均は前後2年ずつと当該年の勝率の平均値である.例えば2011年の勝率5年平均は2009年から2013年までの勝率の平均値となっている.
※勝敗収支は,(1950年以降の通算勝利数)-(1950年以降の通算敗北数).
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初の優勝,名将広岡

長い低迷の後,栄光は突然にやってきた.広岡監督の下で初の優勝を成し遂げる.ちなみにこのときはもう「ヤクルトスワローズ」になっている.細かいことを言えば,ごちゃごちゃ長くなるが,基本的には国鉄→サンケイ→ヤクルトという風に親会社が変わっていったってこと.詳しくは東京ヤクルトスワローズ - Wikipediaを参照.1978 Yakult Swallows Statistics -- Japanese Leagues - Baseball-Reference.comによればピタゴラス勝率から算出される勝数を10勝も上回る勝ち星を挙げての優勝なので,広岡監督の手腕たるや!その年のスタッツを下に掲載する.


ちなみにこの年は打高なので,opsのリーグ平均は.764.ラビット時代に匹敵するレヴェルだ.ヤクルト打線は「赤鬼」チャーリー・マニエル,この年来日したデーブ・ヒルトン,「月に向かって打て」の大杉勝男,「小さな大打者」若松勉,そして杉浦享の5人がops.800越えで主軸となった.しかしチームops.782はトップの広島の.839を大きく下回るし,3ゲーム差で振り切った巨人よりも0.012高い数字でしかない.たいした傑出度ではなかったという訳だ.
ヤクルトというチームは勝っても負けても地味なイメージがあるが,投手陣は地味きわまりない.勝ち頭は通算191勝の大エースhttp://www.baseball-reference.com/japan/player.cgi?id=matsuo000hir:松岡弘,さらに「王に756号を打たれた鈴木」ことwikipedia:鈴木康次朗,そしてwikipedia:安田猛http://ja.wikipedia.org/wiki/井原慎一朗:井原慎一朗が二桁勝利を挙げているが,チーム防御率は4.38でリーグ4位.なんで優勝できたの?
こうやってみていくと,戦うのは選手といいながらも,用兵力で勝利をもぎ取った広岡監督の素晴らしさがよくわかる.この後の黄金期は野村監督時代までないから,ヤクルトというチームは良い監督を迎えることがほんとに大切なのだということが分かる.

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