閑話休題

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NBA: eFG%(エフェクティブフィールドゴールパーセンテージ)の意味と価値

最近バスケットボールのセイバーメトリクスを説いた書物として知られる"Basketball on Paper"を読み始めた.それに触発されてバスケットボールのスタッツとその背後に隠れている哲学が気になり始めたので,これからバスケットボールのあまり知られていないスタッツをちょこちょこまとめていこうと思う.まずはもっとも単純な数値としてシュート関係を考える.

最初はeFG%から.
このスタッツはwikipediaにもページが存在しないようだったので,wikipediaを直接編集しても良かったが,それもなんなので,こちらに記載する.

定義

日本語訳すれば,「実質野投功率」.eFG%(エフェクティブフィールドゴールパーセンテージ)とは,スリーポイントシュートがツーポイントシュートの1.5倍の価値を持つ事実を通常のFG%(フィールドゴールパーセンテージ)に反映したスタッツのこと.つまりフィールドゴールで獲得する得点とeFG%の値が一対一対応しているということになる.

 eFG\%=\cfrac{FG+0.5*3P}{FGA}
もちろんFG%は
FG\%=\cfrac{FG}{FGA}
ただし,FG: フィールドゴール成功数,3P:スリーポイントシュート成功数,FGA:フィールドゴール試投数.

例えば

以下のような場合を比べてみる*1
プレイヤーA:10本のシュートを打ち,3p2本,2p2本を成功
プレイヤーB:10本のシュートを打ち,2pシュートのみを5本成功
両者ともに10本のFGAで10点を獲得しているので,eFG%は50%

eFG%はFGAから得られる期待得点を表す

ここまでで明らかなように,eFG%に2をかけてやれば,そのプレイヤーがシュート(フリースローを除く)を打つことであげられると期待できる得点が何点なのかが分かる.

どのプレイヤーがベスト?

3人の誰が一番得点期待値が高いかを考えてみる.eFG%の算出に必要な数字は以下の通り.FG%はβ,3Pはα,バランスはγとなる.

FGA FG 2P 3P FG%
プレイヤーα 609 289 104 185 .475
プレイヤーβ 515 348 348 0 .676
プレイヤーγ 767 1353 651 116 .567

答えは

eFG% eFG%-FG%
プレイヤーα .626 .151
プレイヤーβ .676 0
プレイヤーγ .610 .043

流石に圧倒的なFG%を反映してβが1位.しかし,αのほうがγより高かったのは以外かもしれない.ちなみにαがAtlanta hawksのスリーポイントシューターであるKyle Kover, βはLos Angels Clippersのセンター,DeAndre Jordan, そしてγがLeBron "The King" James.
KoverはFGの半分以上が3Pなので,eFG%は非常に高くなる.このように,普通のFG%では比較できない異なるタイプの選手の生産性を比較することができるという点が,eFG%の利点と言えるだろう.野球のスタッツでいえば,打率が単打と本塁打を同じ一本の安打として等価に扱ってしまう問題を是正した長打率や,長打率出塁率を併せて評価したOPSなどと似たような発想に立っている.

eFG%の欠点

もちろんここまで読み進めてきて次のような疑問が浮かんできた人も多いはず.それは……
「eFG%はフィールドゴールしか扱ってない.例えばShaquille O'Nealのようにフリースローがド下手な選手の価値は過大評価されるし(hack a shaqでattemptが多い),Allen Iversonのように一試合平均10本ほどのフリースローを打っている選手の価値は過小評価される」
というもの.そこで,次稿ではフリースローまでを射程に納めたシューティングスタッツとして,TS%(トゥルーシューティングパーセンテージ, 日本語に直訳すれば「真実のシューティングパーセンテージ」)を紹介する.

2013-2014のスタッツ

NBAの2013-2014において,FG数が150以上の選手のうち,eFG%上位100選手を掲載した.2014-2015と比較すると,上位は結局インサイドの選手が多い印象だ.TS%で考えるとどんな変化が生まれるだろうか?