閑話休題

ブログの効能と言わば何ぞ其れ日々の由なし事の記帳に限らんや

ネタバレなし映画感想:ぼくたちの家族 -進む所に道は拓ける(Where you go, there's a way)-

掃き溜めのような家族の逆転劇

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この作品に出て来る家族は「厄介な事柄から巧妙に眼をそらして日々の安穏とした生活を維持する」という暗黙の了解によって成り立ってきた.そして弟はそのような暗黙の了解を守れない人間であるためにのけ者のように扱れてきた.弟が借金問題で「もう破産しなきゃ無理っしょ」と父親に言うシーンが象徴的だ.不都合がもう隠しようもなくなったときには,その最終処分場が必要になる.


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こうすけはその不都合の最終処分場にほかならなかった.かれは全てを背負い込んでしまう性分.人に認められようとして,人から責められる事を恐怖し,親父の借金しかり乗り気のしないキャバクラの接待にせよ,いろんな不都合を背負い込んでしまう.他人から見れば,彼は自分の意志というよりも周囲の都合で生きている人間のようにしか見えない.そうやって自分の外側から一方的に投げ込まれる解決不能な事象が溜まって行くと,最後は破滅的な選択肢を選ぶしかない.こうすけが中学生時代に引きこもったというエピソードはその例証となるだろう.今回の母親の病気に際しても,かれは全てを抱え込み,崩壊寸前まで追い込まれた.
しかし,部外者的存在ではあった弟が救世主となる.

最後には……

意志ある所に未知が開いた.其の道は自分だけで開いた者ではなかった.彼の意志が周りを巻き込んだからこそのもの.諦めちゃいけない,諦めなければ何事もどうにかなるし,どうにか道は拓けるのだから!

あらすじ

舟を編む」が数々の映画賞を受賞し、アカデミー外国語映画賞日本代表作品にも選出された石井裕也監督が、母親の病気をきっかけに、さまざまな問題に直面した家族が、再びひとつになっていく姿を描いた。ごく平凡な一家の母・玲子は物忘れがひどくなり、病院で検査を受けると、末期の脳腫瘍で余命1週間と宣告される。玲子は家族がバラバラになることを恐れながらも認知症のようになり、家族にひた隠しにしてきた本音を吐露。突然訪れた事態に父は取り乱し、社会人の長男は言葉をなくし、大学生の次男は平静を装おうとする。残された男3人はさまざまな問題と向き合いながら、最後の「悪あがき」を決意する。長男の浩介に妻夫木聡、その弟・俊平に池松壮亮。両親を原田美枝子、長塚京三が演じた。原作は早見和真の同名小説。                   -ぼくたちの家族 : 作品情報 - 映画.comより-

基本情報

監督:石井裕也
出演:妻夫木聡,長塚京三,原田美枝子池松壮亮黒川芽以
公開年:2014年
上映時間:117分