閑話休題

ブログの効能と言わば何ぞ其れ日々の由なし事の記帳に限らんや

「中学は授業を英語でやる」は絶対に間違っている

英語しか使わない中学の英語授業は日本人の英語力を壊滅させる.そんなことはやってはいけない.結局はきちんと文法から学んで,徐々にレベルアップしていくという地道な教育を手間ひまかけてやっていくしかないんだ.
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ニュースソースは英語:中学は授業を英語で - 毎日新聞より.
あと東大教養学部の菅原克也先生の本「英語と日本語のあいだ」も参考になる(というかこれから書くことはほとんどこの本に書いてある)

関係代名詞も分からない生徒に英語で何を教えるの?

いや,英語を学習する年齢を引き下げて,英語が使える人間を増やすこと自体は良いと思うし,自分自身もそういう教育を受けたかった.まともに英語を話す練習を始めてやるのが,TOEFLibt対策というのはやっぱり良くないからね.でもさ,「英語による英語の授業」っていうのは,英語の時間は教室で日本語を使うことを禁止するってことでしょ?しかも中学校から(高校はもうそうしているらしいけど…)2秒くらい考えれば分かりそうだけど,英文法ってどうやって学習するの?まさか中学生1
年生に対して"subjecti"とか"verb"とかいって説明するのだろうか
例えば,this is a pen なんていうことを説明するにしたって.

先生:Look at this sentence. The first word "this" is subject. and the next word "is" is be-verb. And the last one "a pen" is an object. Is there any question?
(生徒,挙手して起立した後)
生徒:先生,オブゼクトってなんですか?
(先生,生徒にチョークを投げつける)
先生:Don't speak Japanese in this class Mr. Suzuki!!!We've confirmed that it's prohibited from using Japanese in English class!!!
生徒:はい…
(先生,生徒の胸ぐらをつかんで)
先生:You must be a f**kin', stupid and lazy student! Don't say "Hai"!!!. In this situation, you should say,"Ok, I understand." F**k off.
(生徒,泣き出す)

こりゃ入学早々不登校を開始するには十分な理由になってますわ.途中からめちゃめちゃになっているけど,英語だけを使った英語の授業なんて出来っこないというのは常識的に分かると思うけどな.
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「文法なんていらない!」は嘘

もちろん英語で授業をすることの意義は,「英語をたくさん使って英語になれることで使える英語を習得する」ということになるのだろう.江戸時代の藩校などで行われていた漢文教育がまず古典の暗唱から入ったように,意味なんて分からなくてもたくさん英語を浴び続ければ,理屈は自ずから身に付いていくという考え方と同じだ.

でも,実際にそんなこと起こるのだろうか.いくら教室内で週5時間程度英語のみの空間を作ったとしても,残りの160時間以上は日本語のみの世界で生活する.それが今の日本の現実. はっきり言って圧倒的に英語に触れる時間が少ないことには変わりないし,変えるべきじゃないと思う.要は,英語付けの環境を作って英語を使えるようにするという方法は,今の日本じゃどだい無理な話な訳です.にもかかわらず英語だけの授業なんてことをやろうとしたら,今の英語教育がかろうじて保っている水準,すなわち「かんたんな文法と単語だけはなんとかわかる」という水準さえも保てなくなることは確実だ.だって教師からはよくわからん英語で話されるだけで,ほとんど何も必要な情報が得られないのだから…やっぱり日本語で文法中心の授業をやるのが王道でしょう

じゃあどうするんだよ

「英語しか使わない授業をうけさえすれば英語が話せる」なんて幻想は捨てて,普通の英語教育をすれば良い.
第一段階はきちんと日本語で文法を学び,単語を覚えて,文章が読める素地を作ること.短い文章と単語帳で文法構造をさっさと学習してしまうことだ.
第二段階は,英語の読み聞きが出来るようにすること.多読をする.暗唱をする.英語の音を聞く.シャドーイングをする.
第三段階でようやく書く力と話す力を付けていけばいい.書く力と話す力の習得に力を入れるのはどんなに早くても高校1年生からで十分だろう.
ま,ここまでで教育の仕事は終わりだが,第四段階を加えるならば,海外に行って実際に使ってみるということになる.

うん,何の目新しさもない.でもこれしかないでしょ.日常生活に英語が存在しない日本社会で英語を身につけるには,ある程度リクツっぽく勉強しなきゃ無理だよ.フィリピンとかインドみたく英語使わなきゃ周りの人と意思疎通できないような社会じゃないんだから.

もちろんこの方法は,生徒には負担がかかる.「楽しい英語学習」なんて要素は少なくて,とにかく詰め込み詰め込みだ.学校は今よりも金と手間をかけなきゃならない.英会話の練習台になってくれる先生を雇用したり,エッセイの添削が出来る教員を養成したり,きちんと話す力まで試験で評価するような仕組みを作ったりと,やることはいっぱいある.でもほんとに英語力が必要でグローバル人材(なんだそりゃ?),を養成したいならそこまですべきでしょ.そこまでの覚悟がないなら,英語教育改革なんて必要なくて今のままでいい.優秀な人やほんとに海外で働きたいと思っている人は,英語くらい十分に使いこなしているから.


英語学習に奇策なし.この原則を忘れて「英語しか使わない授業をやればみんな英語が話せる」なんていうとんちんかんな考えに飛びついても,何も解決しないどころか,ボディーランゲージと小学生レベルの会話しかできないようなグローバル人材(いよいよなんじゃそりゃ)を輩出するのが関の山だ.